旅は秋パンとチーズと地のワイン

秋鯖(あきさば) ~やまと言葉とトルコの言葉~

2015/11/01 Sun

秋の風物詩「鯖サンドイッチ」作り
秋の風物詩「鯖サンドイッチ」作り (イスタンブール:トルコ 1999.9.27)



    秋鯖焼く匂いと烟ガラタ橋

         (あきさばやくにおいとけむり がらたばし)


 焼いているのは船の上。
 人通りの多い橋の袂に船を寄せて、目いっぱい煙を出して焼いています。
 鯖サンドイッチをランチメニューにした店もたくさん並んでいます。

ガラタ橋
ガラタ橋 (イスタンブール:トルコ 1999.9.27)


 橋の向こうに見えるのはトプカプ宮殿(オスマン朝(=オスマン帝国)の旧宮殿)。

ガラタ橋近くで釣りをする人
ガラタ橋近くで釣りをする人 (イスタンブール:トルコ 1999.9.27)


ドルマバフチェ宮殿
ドルマバフチェ宮殿(イスタンブール:トルコ 1999.9.27)


 ボスポラス海峡に面した大きな建物はドルマバフチェ宮殿(オスマン朝の新宮殿)。
 オスマン朝から共和国となったトルコの初代大統領で建国の父と今も慕われるケマル・アタチュルクも、官邸として使用しました。

 ボスポラス海峡はマルマラ海と黒海をつなぐ海峡です。
 海峡の両側ともイスタンブール市内ですが、写真の左側はヨーロッパ大陸で、右側がアジア大陸になります。

 画素数の少ない初期のデジカメで撮った写真なので写りが良くありませんが、ふとトルコを思い出したので引っ張り出しました。


    秋風や欧州アジア結ぶ橋 /むく

         (あきかぜや おうしゅうあじあむすぶはし)


以下、古い日記から

 『やまと言葉とトルコの言葉』   2002年07月01日(月)

 連日、梅雨のうっとうしさを忘れるような興奮に湧いたワールドカップも終わった。
 宴の後の今日は、ひたすら蒸し暑い。

 韓国対トルコの3位決定戦を砲撃戦で盛り上げるという演出は洒落にもならないが、そのフーリガンたちよりも性質の悪いテロ事件が起きなかったことは何より。
 こんどは合衆国独立記念日である7月4日がテロの標的になるのでは、とも心配されている。

 今日、山手線に乗ったら、秋葉原駅から中年の外国人男性が4人乗り込んできた。
 1人は完全に白人系の顔立ちをしているが、あとの3人はやや中近東っぽい。

 空いている車内に、体格も良く声も大きな4人の会話がよく透る。

 「ブラス・ネレデ?」(ここはどこ?)
 「カンダ・ダ」(神田だ)

 む?
 トルコ語だ!

 4人の会話が途切れたところで、私の隣に坐っていた男性に英語で声をかける。

 “Are you from Turkey?”(皆さん、トルコの方ですか?)

 そうだと言う答えを聞いたところで、ちょっと驚かせにかかる。

 「ジャポンヤ・ヤ・ホシュ・ゲルディニズ!」
 (日本へよくおいでくださいました!)

 「テシェキュル・エデリズ!
 ネデン・トゥルチェ・ビリヨルムスヌス?」
 (ありがとうございます!
 どうしてトルコ語をご存知なんですか?)

 「イキユル・カダール・トゥルキエ・デ・カルドゥム」。
 (2年間ほどトルコに住んでいました。)

 と、忘れかけていたトルコ語を思い出しながら言葉を交わす。

 トルコ語が話せることを自慢しようというのではない。
 トルコ語は日本語に文法が似ていることを紹介したいと思って書いている。

 会話を日本語とトルコ語で一語づつ対照すると次のようになる。
 英語との語順の違いを解りやすくするために、日本語と、ついでに英語も併記してみよう。

 日本(国)=ジャポンヤ(Japan)
 へ=ヤ(to)
 よく=ホシュ(very)
 おいでくださいました(あなたたち)!=ゲルディニズ*!(*人称によって変化)(welcome)
 日: 日本よくおいでくださいました
 土: ジャポンヤホシュゲルディニズ
 英: Welcome to Japan!

 ありがとう=テシェキュル(thank you)
 ございます(わたしたちは)=エデリズ*(人称によって変化)(we)
 日: ありがとうございます
 土: テシェキュルエデリズ
 英: Thank you!

 どうして(=なぜ)=ネデン(why)
 トルコ語=トゥルチェ(Turkish)
 を=(略される)
 ご存知なのですか(あなたは)?=ビリヨルムスヌス*?(*人称によって変化)(do you know?)
 日: どうしてトルコ語ご存知なんですか
 土: ネデントゥルチェビリヨルムスヌス
 英: Why do you know Turkish?

 2=イキ(two)
 年=ユル*(*単数形と複数形があるが、ここでは単数形)(year(s))
 間ほど=カダール(for ~ (about))
 トルコ=トゥルキエ(Turkey)
 で=デ(in)
 住んでいました(わたしは)=カルドゥム*(*人称によって変化)(I lived)
 日: 間ほどトルコ住んでいました
 土: イキユルカダールトゥルキエカルドゥム
 英: I (have) lived in Turkey for two years (about).)

 という具合。

 人称による語尾変化や子音調和(a,u,oグループとi,eグループに分けて、同じグループの発音が続くように子音を揃えること)などのトルコ語の特徴とも言える基本的な文法はあるが、言葉の並び順そのものは日本語と全く変わらない。

 「カンダ・ダ。」(神田だ。)

 これなどは日本語と全く同じ。
 そんな文法であるトルコ語は、英語などゲルマン系言語圏の人間よりも日本人のほうが覚えやすい言葉だと言えるかもしれない。
 実際、欧米人はこの言葉の並び順の違いを理解するのに手間取り、また初心者はよく間違える。

 母音調和や子音調和という概念は日本語文法の中にも見られる。
 例えば「酒(s
ake)」が「酒屋(sakaya)」というように"a"の発音が連続するのは、一種の子音調和だと言えようか。

 日本で平安時代初期頃まで用いられていた「やまと言葉」には、このように音韻を踏む基本的な法則があったと言われる。
 いわゆる雅語であるが、トルコ語はその大和言葉の雅語ような音韻を今も大切にしている言語だと言えるかもしれない。

 “Life is beautiful”という題名のイタリア映画があった。
 この映画のタイトルを「人生は美しい」と日本語に訳しては、意味は通じるが、それ以上面白くもおかしくもない。
 「人生美しきかな」とでもすれば適訳ではあろうが、「かな」は古めかしい感じがする。
 日本語の題名がそのまま「ライフ・イズ・ビューティフル」になったのは、そうした判断も一つの理由ではなかっただろうか。

 トルコでは、この映画のタイトルが「ハヤト・ギュゼル・ドゥル」というトルコ語に訳されていた。
 ハヤト=人生
 ギュゼル=美しい
 ドゥル=~である

 このトルコ語の映画のタイトルからは、「人生美しきかな」という日本語がごく自然に思い浮かんでくるように思う。

 現代トルコ語には、共和制国家となってから公用語にアラビア文字を使用することを廃止し古代トルコ語を復活させるなどの言語革命を行った歴史もあるが、複雑な話は置く。
 外国の言葉に触れることによって、短詩の極致である俳句は音韻、すなわち一つ一つの音が醸し出す音楽性をできるだけ大切にしなければならない文芸だと、改めて気づかされる。

 電車の中で会ったトルコ人だが、1人は大手旅行会社の社長、1人は大手飲料会社の社長と、4人とも名士だった。
 韓国とのプレイオフを観に行ってきたのだという。

 懐かしいトルコ。
 また行ってみたくなった。

 (2015年11月1日推敲)




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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

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No title

 ※ 秋風や欧州アジア結ぶ橋 /むく

凄いですね!。言葉は国と国を結ぶ橋。むくさんこそ
民間外交の担い手・・世界平和のために頑張ってください。

Re: No title

走れ‼でんどう三輪車さま

>  ※ 秋風や欧州アジア結ぶ橋 /むく
>
> 凄いですね!。言葉は国と国を結ぶ橋。むくさんこそ
> 民間外交の担い手・・世界平和のために頑張ってください。
もったいないお言葉ありがとうございます。
大それたことは何一つ考えずに生きてきました。
それは今でも何も変わっていないと思います。
自分が見聞して、これはと思うことだけを書いているだけです。
人それぞれに来し方への思いがあるように。
体温がちょっと高めかな、なんて思いながら。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

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