曼珠沙華だよと母の遠い耳へ むく

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夏帽子(なつぼうし)

2015/07/13 Mon


2015.7.10  浪立ちやまず  (長沢海岸:神奈川県横須賀市)


    海越えて鋸山はかすめども此処の長浜浪立ちやまず /若山牧水

 城ヶ島へ行く途中、牧水の歌碑がある長沢の海岸で小休止。
 上の写真に見える対岸は房州の鋸山(のこぎりやま)ではなく、三浦半島の更に先端方向(剣崎~城ケ島方面)です。

 この辺り一帯の浜を野比(のび)海岸と呼ぶことはありますが、「長浜」と呼ぶのは聞いたことがありません。
 (当時はそういう呼び方もあったのかどうか。)
 牧水が歌に「長浜」と詠んだのは、実際に長い砂浜であり、またこのあたりの地名が長沢で、その長沢に自分も住んでいたことから地名の一字も折り込み、「長い浜」という意味で「長浜」と詠んだのではないか、と想像します。

 牧水の第8歌集「砂丘」には「三浦半島」と題した章があり、掲出の「浪立ちやまず」の歌はその冒頭に置かれています。

 碑文には牧水と三浦半島との関係が書かれていますが、横須賀市のウエブサイトに紹介されていますので、
ここをクリックしてリンクをご参照ください。

 「浪立ちやまず」の歌碑と並んで、この浜には牧水の歌碑がもう一つあります。
 「若山牧水夫婦碑」と呼ばれるそのもう一つの碑には、次の二つの歌が刻まれています。
 
    しら鳥はかなしからずやそらの青海のあをにもそまずたゞよふ /若山牧水

    うちけぶり鋸山も浮かび来と今日のみちしほふくらみ寄する /若山喜志子

 二つの歌碑のすぐ近くに「長岡半太郎記念館・若山牧水資料館」があります。

 


2015.7.10  浪立ちやまず  (長沢海岸:神奈川県横須賀市)


 これは先の写真とは反対の野比~久里浜方面を望んだところ。

 台風の影響でしょうか、この日は好天ながら波が高く、飛沫で景色が霞んでいました。
 カメラには非常によろしくなかろうと、写真はチョットだけ。

 東京湾の中でもこの辺りは外海に近く、海岸線がより外海を向いた格好になっているのが、下の地図からもお分かりいただけましょう。


2015.7.10 長沢海岸の位置  (Google地図より)


 すぐ近くの三浦海岸などは波も穏やかな印象が強いのですが、野比から長沢にかけての一帯の浜は、本当にそこだけ白波が立ち止むことがないといった印象の荒浜なのです。

 海岸に舗装道路網が張り巡らされたり、護岸工事が施されたり、その他さまざまな開発が進められた結果、東京湾内の潮流も変わってしまったのかもしれません。
 牧水が眺めた海の面影は今でも十分に残っていると思いますが、当時とは大きく違っている点も少なくないことでしょう。

 いずれにせよ、苦労の連続だった牧水の生涯の中で、長沢での2年間は貧しいながらも比較的心穏やかに過ごすことが出来た期間だったのではないか、という気がします。

 むかし読んだ牧水の歌集をつらつら読み返しつつ。

 以下、歌集「砂丘」の自序より。


 「本集には『秋風の歌』以後、即ち昨年の春から今日までの作を集めた。
 ただ巻末「ふるさと」の一章のみは一昨々年から一昨年の春にかけ郷里滞在中及び上京の途中に詠んだもので『みなかみ』に編入すべきであったのを誤つて今まで落してゐたものである。
 「曇日」は東京小石川寓居中、その他は当地移転後の作である。

 今までは常に旧く詠んだものを巻首に置いて順次新作に及ぶ編輯法をとつてゐたが、今度はその反対に新作を初めに置いた。

 一歌集を編むごとに何かしらものを思はせられるのは常であるが、今はそれを筆にするのも煩はしいほど静かな気もちになつてゐる。
 このままで今少し澄み入つた作歌の三昧境に進みたいものである。
      大正四年九月十四日/三浦半島海浜にて/著者」
 青空文庫より)


     牧水を口ずさみ郷里出でし春 


     牧水の浜に夏帽子の独り /むく




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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
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Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

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