富士初雪落葉松の大金屏風

田植え

2015/06/27 Sat


2015.6.15 早苗田 (散歩道:神奈川県横須賀市)

 田んぼはもうすっかり青々と。
 今さら田植えの写真でもありませんが、2週間ほど前に撮った散歩道にある一枚田です。

 この田んぼ、今年は代掻きもしないままの状態がずっと続いていたので、とても気になっていました。
 水が入ったのは6月になってからではなかったかと思います。

 ある朝、この辺りを散歩していると、「半分だけ田植えしてあったよ」とガンコちゃん。
 変だな…どうして半分だけなんだろう。
 手で植えても丸一日かかる田んぼではないのに…。

 この田を作っているNさんは多少存じ上げている方です。
 農にとても熱心な方であることも。
 それだけに、こんなに遅い時期に田植えをすることや、半分しか植えなかったということに合点がいかなかったのです。
 何か変事があったのでは…。

 そう訝りながら、田んぼの近くのとある農家の前に差し掛かりました。
 ちょうど庭先で野菜の出荷準備をしていた、Sさんという顔見知りの年配の女性に挨拶。
 田んぼの話をすると、ちょっと驚かれたようです。

 「半分植えてあった?
 …じゃあ、昨日植えたんだわ。
 お母さんが亡くなって…6月になってからだったかな。
 黄ばんできた苗もあって、気になっていたんだけど。」
 と、Sさんのお話で、事情が呑み込めました。

 翌朝また田んぼを通りかかると、そのNさんが、青い合羽を着て小雨の中で早苗を植えているところでした。
 手で植えているのは、小さな一枚田だから。

 上半身を折って身を屈め、早苗を数本ずつに分けては、その分けた苗を挟み持った指先を軟らかな泥の中に突っ込み、丁寧に植えていきます。
 …どんなに深い悲しみを抱きながら植えていらっしゃることでしょう。

 後姿のNさんには声をかけず、そっと田んぼから立ち去ることにしました。

 あの日以来、この景をどんな句に仕立てようかと思案してきましたが、今日やっと詠むことができました。
 ある俳句大会の応募句にすることにしたので、ここにはまだ掲載できませんが。

 あの日のNさんの田植え姿、今思い出しても胸が締め付けられるようです。
 植え余したのは、健康な苗が足りなくなってしまったからでしょうか。

 亡くなられたNさんのお母さんとも、二三度お話をしたことが。
 農協の婦人部で俳句の勉強をしたことだとか…。

 ご冥福をお祈りします。
 合掌。




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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市。

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