灯籠や今も引揚桟橋と むく

秀句鑑賞-冬の季語: 水洟(みずばな)

2014/01/16 Thu

January 16 2014

内藤美づ枝

 水洟をかみ反論に転じたる

 季語は水洟(みずばな)で冬。どんな人が水洟をかんでいるのだろう。作者自身?深刻な夫婦喧嘩?恋人からの別れ話、あるいは恋人に訣別する言葉のもつれ?作者は学校の先生で(あるかどうかは知らない)、子供同士の情景を観察しているのか?現実の光景ではなく、テレビドラマを観ているのか?と、さまざまな状況が空想される。いや、そのような空想をするよりも、この句がなぜ私の心にグサッときたのかを書くべきだろう。理由は一つしかない。いつかどこかで、私自身がそのような捨て身の悲しい反論をした記憶を、この句が呼び覚ますからなのだ。作者自身の心情を詠んだ句と鑑賞したい。そのような悲しい体験は、普通は詠まないし、詠んでも共感を得られる句になりにくい。負の世界を切り口鋭く現代的感覚で詠み、見事に成功させた。衝撃を受けた一句。(渡邊むく)

 【内藤美づ枝: 鹿児島県在住。『月刊俳句界』2013年4月号より】



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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
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Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

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