BGM: Contigo en la Distancia - Chris Botti (Trumpet)


湖を描いてゐる花合歓の下 むく

花まんさく

2015/03/13 Fri


2015.3.8 紅花ときわまんさく (よこすか菖蒲園:神奈川県横須賀市)


     花まんさくかごめかごめの日の遠く /むく


  子供 (ハリール・ジブラーン:『預言者』より)

 それから、胸に乳呑み子を抱いた女が言った。
  「子供についてお話しください」
 アルムスタファはこう語った ――

 あなたの子供たちは、あなたの子ではない。
 生きたいと願う生命
(いのち)そのものの息子であり娘。
 あなたを通して生を受けはしても、
 あなたから生まれたのではない。

 あなたが子供に与えてもよいものは
 あなたの愛情であり、あなたの考えではない。
 子供には子供の考えがあるのだから。

 あなたが囲いの中に入れてもよいものは
 子供の身体であり、子供の心ではない。
 子供の心は、あなたが夢の中でさえ訪ねることのできない
 未来の家に住んでいるのだから。

 自分を子供に合わせるよう、あなたが努力するのは構わないが、
 自分と同じであるよう、子供に求めてはならない。
 命とは、後には戻らぬもの、
 昨日のまま留まってはいないものだから。

 生きた矢となった子供がそこから飛び立つ、
 あなたは弓。
 射手は、無限の行く手に的を見定め、
 飛び立った矢が素早く、そして遠くまで届くよう、
 力を込めてあなたを撓
(しな)らせる。

 喜んで、射手の撓らせるままになりなさい。
 飛びゆく矢を愛する射手は、また
 しっかりした弓をも愛するものだから。

 (訳:渡邊むく - 2001)


 ― 地震大国日本は原発だらけ。
 子供たちに、未来に生きる者たちに、私たちは大変な負の遺産を残そうとしています。
 原発事故による健康被害が顕れるのはこれから。
 自分の子供や孫に限って、癌を発病したりサリドマイド奇形児を産んだりするはずがない…と、私は言い切ることが出来ません。

 1970年代に2度にわたって起きた、いわゆる「石油ショック」。
 枯渇が懸念される化石燃料に代わる代替えエネルギーによる発電が可能になるまでの「つなぎとして」、という大義名分のもとに原子力発電が正当化されていった経緯を、私たちは忘れていません。

 「つなぎ」のはずだった原子力発電は、火力発電等と比べて初期投資額は大きいものの、運転コストが安く、"大気汚染物質"を含む温室効果ガスを放出しないことを理由に、やがて、「原発は安全」、「原発はクリーン」という論理にすり替えられていきました。
 楽をして儲けることができる電力会社、そしてそれに利害関係を等しくする人々にとって、原発は「美味しいビジネス」というのが本心だったでしょう。

 一部の科学者や専門家は、福島第1原発で発生したようなメルトダウンも見越した原発事故に対する懸念を、早くから抱いていました。
 しかし、そのような少数意見は、厄介者として抹殺されてきたのです。

 一定の出力で運転し続けるのが一番効率がよく安全でもある原発、つまり簡単に発電量を調節できない原発は、その性質から、一日の中でさえ大きく変動する電力需要の100%を賄うことはできません。
 しかし、いつしか、日本の官民は、出来る限り原発を増やすことを国是とするようになり、火力発電所の運転を、国策として次々と停止していったのです。
 挙句の果てに、「原子力安全保安院」なる機関(福島原発事故以後廃止)が次第に影響力を増し、官民が「原子力ルネッサンス」などという、とんでもないスローガンまで掲げるようになる始末。

 初期投資額が大きいということは、ビジネスとして魅力も大きいということです。
 地熱発電所建設などの小規模プロジェクトに力を入れないできた大きな理由の一つは、経済効果の波及規模を優先する物差しを当ててきたことです。

 特に第二次世界大戦での敗戦を機に、社会規範がガラリと変わった日本は、経済論理が社会倫理を抹殺する国になってしまいました。
 宗教や政治のことは話題にしないのが賢明な処世術とされる、世界でも例のない"先進国"になったのです。

 急速な工業化が進むインドなどは、電力不足が慢性化している国ですが、政府が原発建設を提案しても、ノーと意志を表示する世論が勝つ国です。
 そういう価値観を、倫理を、現代の日本の私たちは失っているように思えてなりません。

 百歩譲って、原発がこれまでに果たしてきた役割を認めたとしても、その存在意義はもはやなくなったと認識し、速やかな「脱原発」を図ることをこれからの国是としてゆくべきでしょう。
 英語で"public servant"と言う、「公僕」(民衆の下僕)であるべき政官界の「脱原発」への舵の取り方を、しっかり監視してゆかなくてはなりません。

 科学は両刃の剣。
 それをどう応用するかは、科学者の良心。
 科学者こそ良心を持たなくてはならない…と説いた、ノーベル賞を受賞した最初の日本人である物理学者湯川秀樹博士や、もう一つのノーベル賞と言われるライト・ライブリフッド賞を受賞した科学者
高木仁三郎博士の声に、今こそ耳を傾けるべき時ではないでしょうか。

     まがつびよふたたびここにくるなかれ
           平和をいのる人のみぞここは
 /湯川秀樹

 「まがつび」とは禍津日神(まがつひのかみ、まがついのかみ)で、禍の日の神。
 この歌では原爆のことを意味しています。




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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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愛読

1年ほど前から、楽しく読んでおります。私も、俳句を愛する女です。今日の詩に心を揺さぶられました。3人子の子育ては終わりましたが、3人目を出産したばかりの娘へ、この詩を書き写して贈りました。命を繋ぐことの意味がここにあります。

Re: 愛読

pichiさま

> 1年ほど前から、楽しく読んでおります。
ありがとうございます。

>私も、俳句を愛する女です。今日の詩に心を揺さぶられました。
>3人子の子育ては終わりましたが、3人目を出産したばかりの娘へ、この詩を書き写して贈りました。
>命を繋ぐことの意味がここにあります。
ご紹介させていただいた甲斐がありました。
ジブラーンの同じように素晴らしい詩を訳したものが他に数編ありますので、折をみてまたご紹介させていただきます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

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