旅は秋パンとチーズと地のワイン

秀句鑑賞-夏の季語: 蟻(あり)

2014/11/07 Fri

November 7 2014

五島瑛巳

    原子炉に蟻一匹の息づかひ
 
 原子炉にも蟻はいるだろうか?原子炉と蟻とは突飛な組み合わせだが、炉内にはいないとしても建屋内にはあちこちにネズミも出没する由。小さな蟻はネズミよりもっと自由に出入りできるはずだが、この句は実景ではなく、現今、社会の最大関心事といっていい原発をテーマに心象風景を詠んだもの。原発の核心部である原子炉の「蟻一匹の息づかひ」に、作者はどんなメッセージを託したのだろう?蟻は作者自身の投影であろう。鹿児島の県議会が川内原発の運転再開を認める決議を行い、県知事もこれに同意したという報道に接して驚きを禁じ得なかった今日、ふと、この一匹の蟻はやり場のない声なき怒りの象徴のように思われる。「あなたもその一匹の蟻で、誰に聞こえるはずもない息づかいで無力な自分を徒らに嘆いてばかりいるのではありませんか?」と問われている気がした。(渡邊むく)

 【五島瑛巳(ごとう・えみ):昭和22年(1946年)静岡県生まれ。『車座』主宰。『月刊俳句界』2013年8月号より。】




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ
スポンサーサイト

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

せつ

拙句にご高評価深謝いたします 昔書いた句に 星と月の会話無核舞踏会は何時 がありますが 今ははるかに深刻な事態です みじかな恐怖として 発表せずにはいられなかった句です 白富士をわなげの的に裾野の子 瑛巳

五島瑛巳さま

> 拙句にご高評価深謝いたします 昔書いた句に 星と月の会話無核舞踏会は何時 がありますが 今ははるかに深刻な事態です みじかな恐怖として 発表せずにはいられなかった句です 白富士をわなげの的に裾野の子 瑛巳

 ご訪問、丁重なコメント、ありがとうございます。
 よく「時事の句は佳句にはなりにくい」という言葉を耳にいたします。
 生意気を言わせていただくと、私が深く共感できた御句は、「佳句」という言葉が当たらないなら「秀句」であり、言霊・呪文としての詩の使命を立派に果たしていると思います。
 「発表せずにはいられなかった」勇気ある姿勢に、最大の敬意を表します。

 >白富士をわなげの的に裾野の子 瑛巳
 以前拝見いたしまして、「あぁ、こんな句を私も詠めたら…」とため息が出るほど、大変気に入った一句です。

拙句へのご高評に感謝です

コンピューター系の音痴ですので これだけご送信するだけで 大変でしたがひとこと 真意お汲み取りいただけた御礼を申し上げます 俳句ってほんとうにいいですね 車座は若い俳人がいます 発句会が終わり 梅一輪一輪ほどの香りの静岡市ですご清吟ますますをお祈り申し上げます御礼まで

五島瑛巳

コメントありがとうございます。
裾野の子の御句もすばらしく、大変気に入っています。
独立峰の富士山にはよく輪投げの輪のような雲がかかりますが、その富士に向かって輪投げ遊びをしているというのが、いかにも裾野の子らしく。見事に読み切られたと。

五島瑛巳です渡邉むく氏に句集を謹呈したいのですが ご住所教えていただきたいのですが

Re: タイトルなし

五島さま

ご返事がおくれてすみません。

> 五島瑛巳です渡邉むく氏に句集を謹呈したいのですが ご住所教えていただきたいのですが
句集刊行おめでとうございます。
また、お気遣いのほどありがとうございます。
遠慮なくお言葉に甘えさせていただきます。
住所を以下に記載します。
 〒239-0802 神奈川県横須賀市馬堀町1-15-29
楽しみにしております。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR