秀句鑑賞-夏の季語: 蝉(せみ)
2013/11/12 Tue
November 12
2013
伊藤八千代
大地なほ健やかなりし蝉の穴
季語は蝉(の穴)で夏。今年七月の『惜春』横須賀吟行会での詠。互選の時、目にした途端に鮮烈なショックが走り、深い感銘を受けた。ショックを受けたのは放射能禍に苦しむ福島の大地を思ったから。感銘を受けたのは作者の精神の健やかさに対して。蝉の穴もよくお詠みになる主宰の風人子先生の御句かと思ったが違っていた。作者がフクシマを意識して詠まれたかどうかはお訊ねしていないが、未来を生きる子供たちを思い、未来に生まれてくるあらゆる命を思う時、「なお健やかなりし」の惜辞は、胸が痛くなるほど切ない希望が込められた限りなく深い祈りとなる。ノーモア・フクシマと心から祈る。(渡邊むく)
【伊藤八千代(いとう・やちよ):『惜春』会員。神奈川県在住。『惜春』2013年11月号より。】

伊藤八千代
大地なほ健やかなりし蝉の穴
季語は蝉(の穴)で夏。今年七月の『惜春』横須賀吟行会での詠。互選の時、目にした途端に鮮烈なショックが走り、深い感銘を受けた。ショックを受けたのは放射能禍に苦しむ福島の大地を思ったから。感銘を受けたのは作者の精神の健やかさに対して。蝉の穴もよくお詠みになる主宰の風人子先生の御句かと思ったが違っていた。作者がフクシマを意識して詠まれたかどうかはお訊ねしていないが、未来を生きる子供たちを思い、未来に生まれてくるあらゆる命を思う時、「なお健やかなりし」の惜辞は、胸が痛くなるほど切ない希望が込められた限りなく深い祈りとなる。ノーモア・フクシマと心から祈る。(渡邊むく)
【伊藤八千代(いとう・やちよ):『惜春』会員。神奈川県在住。『惜春』2013年11月号より。】

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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術
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