旅は秋パンとチーズと地のワイン

秀句鑑賞-冬の季語: 冬の蠅

2013/11/06 Wed

November 6 2013

川又曙光

 空瓶からびんの陽をめている冬のはえ

 初めから自由な想像を許して句を詠むのは意外と難しいと考えているが、掲句にはそれがある。空瓶を「あきびん」でも「くうびん」でもなく、すんなりと「からびん」と読むのは私が酒飲みだからだろう。「びん」に「壜」ではなく「瓶」の字を充てていることもその確信を深めさせる。当然、私が想像する空瓶は酒の瓶だが、それは日本酒の一升瓶でもワインボトルでもない。ウィスキーボトルだ。しかもスコッチではなくバーボン。西部劇の世界である。それも、日本では「マカロニウエスタン」、西部劇の本場アメリカでは「スパゲティウエスタン」と呼ばれたイタリア製シネマの一シーンのような荒唐無稽な世界。眺めているのは主役の善玉ではなく悪玉。冬の蠅が空瓶の陽を舐めている光景を眺めるのは、そんな無頼漢にこそ相応しいと思うのだが、どうだろう。無理やりにも著名な俳人に当てはめるならば、種田山頭火的というよりは尾崎放哉的。作者はどんな時にこの句を詠んだのだろう。(渡邊むく)

 【川又曙光:『ゆく春』同人。『月刊俳句界』2013年11月号より。】



にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ
スポンサーサイト

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR