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航跡もイルカの群も夕焼ける

富士ざくら / 蛇穴を出づ / 春雷(しゅんらい)

2020/04/20 Mon

    うつむいて咲けば師のこと富士ざくら

        (うつむいてさけばしのこと ふじざくら)






    穴を出てをりたる蛇がまた穴へ

        (あなをでておりたるへびが またあなへ)






    喉鳴らす猫の春雷それつきり /むく

        (のどならすねこのしゅんらい それっきり)





 富士ざくら (2020.04.19 山中湖村:山梨県)


 フジザクラもマメザクラ。
 みな俯いて咲く。

    愁ひある如くうつむき茄子の花 /高田風人子

 4月6日が風人子先生の一周忌であった。
 先生が終生過ごされた横須賀で追悼の吟行句会が行われる予定だったが、時節柄中止に。
 墓参にもお伺い出来ないでいる。
 秦野に越せば、横須賀もだいぶ近くなる。
 親しくさせていただいた横須賀の句友の皆さんにも、またお会い出来よう。
 東京の句会へも行きやすくなる。
 今はそれも中止が続いているが。


 アオダイショウ

 雨のあと、昨日の午前中はよく晴れた。
 午後からはまた怪しくなりそうだったので、朝のうちに散歩へ。

 山中湖の富士桜も満開になった。
 楽しみにしているキビタキの声はまだ聞こえない。

 熔岩原に立つ山之神社の近くで富士山を眺め、帰ろうとすると、北富士演習場の林道から一台の四輪駆動車が出てきた。
 足立ナンバーの車だった。
 こんなときに東京から来てオフロードでもあるまい…。

 その後に続くようにして三台の車が出てきて、山之神社の傍の空き地に止まった。
 車から降りてきたのは三人の地元の中年男性。
 二週間ほど前に野焼きは終わったから、立入り日の演習場は山菜採りの季節を迎えている。
 そのパトロールの人たちらしい。
 ゲートで地権者に料金を払えば、一般の人でも山菜採りに演習場内に入ることが出来る。

 演習場には入会地があって、地権者など地元の人は生業のために入ることが許可されている「立入り日」がある。
 基本的には日曜日が立入り日になっている。
 立入りが許されるのは、あくまでも地元の人の生業のためという運用原則になっている。
 ゲートには「関係者以外立入り禁止」だとか「不発弾に注意」といった警告看板が立っている。
 演習場が大花野となる初秋などに、私も立ち入らせていただいてはいるが。

 山之神社の周りの植生を覗いていたその地元の男性の一人が言った。

 「これ、五葉だね。」

 斜面に露出した熔岩の間から生えている苗木ほどの小さな五葉松を指さして言った。
 そこに五葉松が生えていることを私は知っていたが、初めて気が付いたような顔をして話の輪に加わった。

 「珍しいですね。
 自生でしょうか?」

 「種が飛んできたんだろう。」
 そう答えたのは三人の中心者らしい男性。
 見覚えのある御仁だが、どこでお会いしたか思い出せない。

 「蛇がいるよ」と、一人が指さした方を、「どれどれ」と皆で覗き込む。
 
 「山中湖では滅多に蛇を見かけませんね。
 ほとんどいないのかと思っていました」と私。

 「久しぶりに見たな」と中心者の男性。
 地元の人もそう言うほど山中湖には蛇が少ない。

 苔のような若草色をした大きな蛇…アオダイショウだ。
 これまで、山中湖ではヒナタヘビのような小さな蛇は見たことがあるが、アオダイショウを見るのは初めてだ。

 露出している熔岩の下に小さな洞があって、そこに蛇穴もあるらしい。
 アオダイショウは頭のほうの身半分だけ穴に入れているらしく、どこにも頭が見えない。

 ポカポカ陽気に誘われて一旦は出て来たアオダイショウが、また穴に戻ろうとしているところのように見えた。
 空腹に耐えて長い間冬眠していたにしては、私のように立派な胴回りをしている。
 既に何度か出て来ては餌にありついて、食べ過ぎてついに穴に入れなくなったのか。
 それとも、穴の中で野ネズミとでも対峙しているのだろうか。

 空には天敵の猛禽も飛んでいる。
 近くにはイノシシだっているだろう。
 いつまでもそんな恰好でいると狙われるぞ。

 「山之神社で蛇だよ。
 縁起がいいな。」

 そう言い残して、三人の男性は銘々の車に乗って立ち去った。



 杣の春 (2020.04.19 山中湖村:山梨県)


 (2020年4月20日 山中湖にて)


 ご訪問ありがとうございました。


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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

Secret

お早うございます。

みなとのブログに講評を本当に有難う御座いました。(^^)/

むくさんのブログ写真も素晴らしいですが
投稿文が一編のエッセイの様で感銘しました。
素晴らしいです、👏
あっ・・蛇は、大嫌いですが((+_+))

Re: お早うございます。

みなとさま

> みなとのブログに講評を本当に有難う御座いました。(^^)/
いえいえ、毎度の与太ですが、御句がホントに素晴らしくて、いつも感服しています。

> むくさんのブログ写真も素晴らしいですが
> 投稿文が一編のエッセイの様で感銘しました。
> 素晴らしいです、👏
うれしいお言葉、ありがとうございます<(_ _)>

> あっ・・蛇は、大嫌いですが((+_+))
私も大の苦手です🥶
あるとき、「フナムシは苦手です」と言ったところ、その俳句の先輩が「何言ってるの、フナムシなんて最高の季題だよ」と。
いまだにフナムシの句は詠んだことがありません。
蛇も、かなり頑張ってなんとか一句(汗。

コメントありがとうございました。

こんにちは♪

俯いて咲くフジザクラ可愛らしいですね
豆桜も同じとは知りませんでした
アオダイショウ 実際には出会いがなく良かった!^^;
でも縁起がいいのですね
アオダイショウさん、ダイエットしましょう(笑)

こんばんは♪

桜には出会いたいけれど、青大将には出会いたくありませんpp
山中湖には蛇がすくないのですか、へ~何故なんでしょうね。
富士山綺麗ですね♪

No title

こんばんは。
フジザクラ,好きです。
以前は庭に2種類ありましたが,今は御殿場桜1本になってしまいました。今年も大輪で濃い色の花を着けました。
本当は,白く優しい花の方が好きだったのですが,愛知県の夏が過酷だったのか,枯れてしまいました。
いつか,現地でフジザクラを見てみたいと思っています。

No title

こんばんわ 秦野では渋沢駅から近い西小学校脇に住んでいました。私は俳句は門外漢で判りませんが、むくさんの写真と文章は楽しく読ませて貰っています。リフォーム完了が待ち遠しいですね。

Re: こんにちは♪

トマトの夢3さま

> 俯いて咲くフジザクラ可愛らしいですね
なぜ惹かれるのか、まったく不明です。
出会った頃のガンコちゃんにどこか似ているから、かなぁ…エヘヘv-291
…あ、今はとっても怖いですv-319

> 豆桜も同じとは知りませんでした
マメザクラは花の小さな野生種のサクラの総称ではないでしょうか。

> アオダイショウ 実際には出会いがなく良かった!^^;
写真、よく撮れたんですが、アップはしないことに。
やっぱり、自分がヤなものは…ネ(^_-)-☆

> でも縁起がいいのですね
昔から家の守り神と言われて。

> アオダイショウさん、ダイエットしましょう(笑)
ハイ(@<>@)/

コメントありがとうございました♪

Re: こんばんは♪

miyakoさま

> 桜には出会いたいけれど、青大将には出会いたくありませんpp
Oui madame.

> 山中湖には蛇がすくないのですか、へ~何故なんでしょうね。
標高が高く寒いので、餌になる小動物も少ないからではないかな、と。
でも何がしかの餌はありますから、全くいないわけでもないようです。

> 富士山綺麗ですね♪
星空と富士山の写真だとか、いろいろ撮ればいいんでしょうが、横着して撮り方も勉強はさっぱり(汗。
佳い景色は心の眼に焼き付けて ←キザだぜ!

新緑のあとは朴の花の季節に。
霊峰富士の朴の花、一度観におはこびくださいませ^^

コメントありがとうございました。

フジザクラ

リキさま

> こんばんは。
> フジザクラ,好きです。
わ~い、同行の士!

> 以前は庭に2種類ありましたが,今は御殿場桜1本になってしまいました。今年も大輪で濃い色の花を着けました。
庭に…とは羨ましい。
庭木になるフジザクラの中には花色の濃いもの、比較的大きな花を咲かせるもの、白から緑がかった花を咲かせるものなど、いろいろあるようですね。
箱根や御殿場で大好きになりました^^

> 本当は,白く優しい花の方が好きだったのですが,愛知県の夏が過酷だったのか,枯れてしまいました。
山中湖には少ないようですが、富士山麓にはサンショウバラという花も咲きます。
木はサンショウの木のようにトゲがあります。
花はバラ…かなぁ、ちょっと違うような気も。
フジザクラのあと、ヤマボウシのやや前に咲きます。
フジザクラ同様、熔岩原を好むかのような。
箱根バラとも。

> いつか,現地でフジザクラを見てみたいと思っています。
ぜひぜひ。
我が家は落葉松林に囲まれていますが、五階のバルコニーから見下ろすと、あちらこちらにフジザクラの鹿の子模様が。
価値観は人それぞれですが、私は好きです。
きっとリキさまも。
  朝もやの中に見るべし富士ざくら /む

コメントありがとうございました。

Re: No title

Takさま

> こんばんわ 秦野では渋沢駅から近い西小学校脇に住んでいました。
あらま、奇遇ですね^^

>私は俳句は門外漢で判りませんが、むくさんの写真と文章は楽しく読ませて貰っています。
ありがとうございます^^
拙さもかえりみずお恥ずかしい限りですが、お言葉、励みになります♪

>リフォーム完了が待ち遠しいですね。
ハイ、梅雨の頃にずれ込むのかとか…まぁ、世の中の流れに沿って、ということに。
いろいろな方にお読みいただいていることを励みに、あるがままに、でも少しはお楽しみいただけるように、と。
これからもどうぞよろしくお願いします。

コメントありがとうございました。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
男性。岩手県生まれ宮城県育ち。商社勤務、産業技術英語通訳・翻訳者を経て現在はほぼ引退。愛妻ガンコちゃんと二人暮らし。引越し回数二十六回。現在の主な発信地は東京へも富士山へも約70kmの神奈川県秦野市。俳句は2000年から。リンクはどうぞご自由に。

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