灯籠や今も引揚桟橋と むく

ユッカの花

2014/05/30 Fri

 5月29日(水)

 薬が残り少なくなったので、ガンコちゃんに車で送ってもらって掛かりつけの内科へ。
 三脚を括りつけたカメラバッグを持って。

 「血圧はまあまあですね。」
 と言った後に続く主治医の言葉は、いつも大体同じ。

 「お酒は止めてください。」
 「はい、この四ヶ月間一滴も…。」

 「塩分の摂り過ぎに気を付けてくださいね。」
 「はい、味噌汁を飲むのも止めました。」

 「よく運動をしてください。」
 「はい、これから観音崎を歩いてきます。」

 まるで模範患者でございますと言わんばかりの完璧過ぎる答えをしてしまったことを、ちょっと後悔。
 でも本当に節制しています。
 タバコのことは言わない先生。
 感謝しています。

 調剤薬局とコンビニに立ち寄ってから観音崎へ。


2014/05/29 ユッカの花 (たたら浜:神奈川県横須賀市)
 2014/5/29 ユッカの花 (たたら浜:神奈川県横須賀市)

 ガンコちゃんに車から降ろしてもらったのは「たたら浜」。
 今日は私一人の散策です。
 デジタル一眼レフを買って持ち歩くようになってから、だんだん冷たくなってきたガンコちゃん。
 急かされずに済むので、一人のほうが気楽ではありますが。

 何年か前の今ごろ、病み上がりにいきなり観音崎の山中を半日ほど歩き回ったところ、途中で疲れてしまい、ケータイでSOSを発信して車で迎えに来てもらったことがありました。
 今日もその手で行こうかな。

 花が咲き出した一叢のユッカに誘われて砂浜に降り、引き潮の磯を一巡り。
 自然観察の授業でしょうか。
 赤い帽子を被った夏の体操着姿の子供たちが大勢…。

 どんな獲物を探しているのか、浅瀬に浸かって立っている人が一人。
 岩から岩を伝い歩く私の足音に気付いて――本当は気が付いてくれるようにわざと音を立てて歩いたのですが――水中から見上げたのは、漁師とも見えない色白の若い男性でした。
 
 「こんにちわ。
 何を獲っていらっしゃんですか?」

 「若布を採ろうかな…と。
 でも、もう育ち過ぎで終りみたいですね。」

 「養殖若布も、三陸などと違ってこの辺は解禁時期が早いですからね。
 立春の頃から採り始めるようです。
 五月連休の頃でももう終わりのようです。」

 若布を拾っている界隈の人らしいご婦人に出会った時のことなどを思い出しながらそう言ったのは、その男性が地元の人ではないと思ったから。
 地元の人なら今の時期に若布を採ったりはすまい、と。


    父が押し子が捲き上げる若布刈舟 /むく

 こんな句を詠んだのは、もう十年以上も前のこと。
 この春、買ったばかりのデジタル一眼レフを手に句を詠んだ三浦海岸へ行ってみましたが、残念ながらお目当ての若布刈舟(めかりぶね)を見ることは出来ず。
 三浦半島でもよその浜では、若布の養殖を続けているところが幾つかありますが、三浦海岸では今や過去の風物詩になりつつあるようです。


2014/05/29 磯あそび (たたら浜:神奈川県横須賀市)
 2014/5/29 磯あそび (たたら浜:神奈川県横須賀市)

 平日で、磯で遊ぶ人の姿も数えるほど。
 引き潮と逆光で水が透き通って見えませんが、小さいながらもたたら浜は白砂青松の渚です。


    子の頃の君立つ浜やユッカ咲く /むく

 このたたら浜は、水爆実験で蘇ったゴジラが最初に上陸した場所。
 かつてはゴジラの滑り台もあったとか。
 今は足跡が残っているだけで、ゴジラは「くりはま花の国」の丘の上に住んでいます。

      高潮に黒船祭りユッカ咲く /石原舟月

 黒船祭りは七月に行われる久里浜の祭り。
 角川書店版の「季寄せ」では季語に挙げられていますが、それほど有名な行事でもなく、定着した季語とは言えないような気も。
 作者がもう一つの夏の季語である「ユッカ咲く」を重ねて詠んだのもそのためでしょうか。
 季重なりも良しと認められる条件の一つは、季語同士の存在感が拮抗して「喧嘩」していない句であることかと思います。




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渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。俳句歴:2000年より。(主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市)

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