Moon Over Water - Updated: September 17, 2018

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花野行くディズニーランドを行くごとく

鉦叩(かねたたき)

2018/08/28 Tue

    妻に聞こえ吾に聞こえぬ鉦叩

        (つまにきこえわれぬきこえぬ かねたたき)


    聴力の検査めきたり鉦叩 /むく

        (ちょうりょくのけんさめきたり かねたたき)



 トリカブト(鳥兜) (2018.8.27) 山中湖:山梨県)


 カネタタキ(鉦叩)というと古典落語の「反魂香」を思い出す。
 長屋に引っ越してきた元は武士だった坊さんが夜な夜な鉦を叩いて、不遇の最期を遂げた恋人、吉原三浦屋の高尾太夫を偲ぶ噺だが、噺の佳境や落ちは語らずにおく。
 ともあれ、カネタタキの音色には、そんな湿っぽい噺を思い出すような寂しい印象がある。

 そのカネタタキの鳴き声を聴こうとして愕然となった。
 ガンコちゃんが「聞こえる」というカネタタキの鳴き声が、私には全く聞こえないのだ。
 担がれているのかと、何度も疑ってしまった。

 耳の老化、つまり聴力の退化は、高周波の音が聞こえなくなることから始まるという。
 カネタタキの鳴き声は、まさにその初めに聞こえなくなる高周波音なのではないかと思う。
 ほかの虫の音はちゃんと聞こえる。

 今夜もクツワムシ(轡虫)が賑やかだ。
 時おりカンタン(邯鄲)の声も聞こえる。
 スズムシ(鈴虫)は鳴いていない。
 耳が聞こえないのではない。

    クツシヨンの花色褪せて鉦叩 /山口青邨



 凍裂の見える樹と蔦紅葉 (2018.8.27) 山中湖:山梨県)


 リンクに「水彩スケッチと俳画」(礼子さんご夫妻)を追加させていただきました。
 よろしくお願いします。


 (2018年8月28日 山中湖にて)



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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

「反魂香」は愛する女性を失った2人の男性の哀しい話のはずですが、なぜかおかしい。昭和39年というから54年前に亡くなった八代目三笑亭可楽の口演が好きでした(ラジオで聞いていただけですが)。実際の高座に接した人の話では、ひょっとこ面をして「お前は島田ジュウザさん…」というところがたまらなくおかしかったそうです。現在の九代目の可楽師匠は八代目の晩年の弟子ですが、師匠に教わった通りにこの話を演じているので、懐かしい感じがします。とはいっても、最近は体調がすぐれないようなのが心配ですが…。

Re: No title

たんめん老人さま

> 「反魂香」は愛する女性を失った2人の男性の哀しい話のはずですが、なぜかおかしい。
噺をご存知で嬉しいです。

> 昭和39年というから54年前に亡くなった八代目三笑亭可楽の口演が好きでした(ラジオで聞いていただけですが)。
> 実際の高座に接した人の話では、ひょっとこ面をして「お前は島田ジュウザさん…」というところがたまらなくおかしかったそうです。
ラジオで落語を聞いてらしたお話、懐かしくなります。
高座を見たこともなく、ラジオで覚えただけの落語を学校で披露したことも(笑。

> 現在の九代目の可楽師匠は八代目の晩年の弟子ですが、師匠に教わった通りにこの話を演じているので、懐かしい感じがします。
> とはいっても、最近は体調がすぐれないようなのが心配ですが…。
いろいろなことに造詣が深くていらっしゃって感服です。

丁寧なコメントありがとうございました。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。人生の大半は首都圏暮し。海外生活約10年。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、山梨県山中湖村。

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