Moon Over Water - Updated: September 17, 2018

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花野行くディズニーランドを行くごとく

紅葉(もみじ)

2017/11/05 Sun

    山遊び野点の背に富士紅葉 /むく

         (やまあそび のだてのせなにふじもみじ)


富士山裾野の紅葉 (2017.11.4 愛鷹山:静岡県裾野市)



富士裾野の秋 (2017.11.4 愛鷹山:静岡県裾野市)



 11月4日(土) 晴れ

 愛鷹(あしたか)連山の越前岳に登った。
 平日のうちに登るつもりだったが、仕事に追われて今日になってしまった。

 出がけに人と話し込んだりして、本数の少ない御殿場駅発十里木(じゅうりぎ)行きのバスに危うく乗り損ないそうになった。
 駅の売店で昼食と飲み物を買うつもりだったが、そんな暇もない。
 終点の十里木でバスを降りてから、自動販売機で飲み物だけ買った。

 越前岳は海抜1504メートルの山だが、登り始めた十里木登山口の標高が885メートルほどなので、実際の標高差は6百メートル強しかない。
 が、登り始めてすぐに早くもバテる。
 これまでにないほど脚が重い。
 Gパンのせいか、その下に穿いたスパッツのせいか。
 いや、何よりも身体が鈍(なま)ったせいだろう。

 半分登ったあたりにある馬の背見晴台で一息入れながら、無理はせず、今日はここで引き返そうかと思う。
 体調が不十分であることは重々承知の上でやって来たのだ。

 しかし、今日登れないと「登れなかった」ことがトラウマとなって、次の目標も遠のくことになりそうだ。
 登れるところまで登ろう…と、何度も休みながらゆっくり登った。
 4、5歳の子供にも追い越され、犬を抱いて登る人にも先を越され、誰よりも遅いペースで。

 何がどうしたか分からないが、次なる目標地点を二つほど見逃してしまって、気が付けば、いつの間にか頂上に辿り着いていた。
 見かねた山の神様が助けてくれたのに相違ない。

 私を追い越して行った人たちや、「愛鷹山登山口」でバスを下りて黒岳のほうから登ってきた人たちが、頂上のあちこちで弁当を広げている。
 3連休の中日ということもあってか、若い人たちの姿が目に付く。

 時計を見ると正午を2、3分回ったところ。
 2時間20分ほどで登った計算だ。
 どこかに2時間半が標準所要時間と書かれていたように思う。
 寛大な標準時間ではあるとしても、大勢の人に追い越されながら登ったので、それほどの遅れでもなかったことに我ながら驚く。
 それにしても、皆さん健脚でいらっしゃる。

 他人が弁当を食べているのを見ていると腹が減りそうだ。
 頂上付近を少しうろついて、元来た道を引き返す。
 次は別のルートから登りたいものだと思いながら、ゆっくりと馬の背見晴台まで下りて、一息入れる。

 「よかったらお茶…はいかがですか?」
 と声をかけて下さったのは、50歳前後の2人連れの女性。
 何か召し上がっておられたご様子。

 「ありがとうございます。
 食べるものを持たずに登ったので、嬉しいです。」

 「いえ、食べ物じゃなく、お茶だけです。」
 「えっ、てっきりお茶漬かとばかり…。」

 「お抹茶です、これから立てます。」
 「えっ、抹茶を立てるんですか、山登りに来て?」
 「はい、よくそうして楽しんでいるんですの。」

 拝見していると、リュックから抹茶用の大ぶりの茶わんや茶筅(ちゃせん)などの茶道具を、手品のように次々と取り出す。
 こんなに重い物まで背負って山に登ってきて、この余裕…と、ほとほと感心してしまう。

 切り分けた羊羹と温めの抹茶を、ありがたく頂戴する。
 「いやぁ、山登りに来て野点(のだて)にお誘いいただくとは思いもしませんでした。
 最高の偶然で、しかも床の間に富士山と紅葉を飾ってだなんて、冥利に尽きます。」

 実際、疲れが一遍に吹き飛んだ。
 それぞれ、富士市と富士宮市から来られたという二人の佳人。
 ありがとうございました。

 こんな楽しい出会いが待ち受けていると分かっていたら、もう少し元気な顔を用意しておくんだった。
 …また、ガンコちゃんにお灸を据えられるだろうなぁ。



越前岳山頂 (2017.11.4 愛鷹山:静岡県裾野市)



越前岳頂上からの富士山 (2017.11.4 愛鷹山:静岡県裾野市)



カネやモノでなく、未来の大人たちに豊かな心の大切さを伝えられる私たちに。(渡邊むく)


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テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

コメント

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No title

もと山ガ-ルとしては、羨ましい環境ですね。
ご親切な方に巡り合い良かったですね
むくさんの人徳のせいですね(*^-^*)

Re: No title

みなとさま

> もと山ガ-ルとしては、羨ましい環境ですね。
季節と場所は最高でした。
それにしても、わたしは重い望遠レンズは持たずに登ったというのに、犬を抱いて登る人もいたり、皆さんの体力には脱帽です^^
> ご親切な方に巡り合い良かったですね
> むくさんの人徳のせいですね(*^-^*)
人徳ではなく、アンパンマン、いえ、安パイだと思われたのでしょう(⃘ ₎o̮₍ )⃘
山で出会う方は皆さん優しいですね。
低山は今、紅葉の真っ盛りです♪

コメントありがとうございました。
プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。人生の大半は首都圏暮し。海外生活約10年。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、山梨県山中湖村。

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