春惜しむ「折々のうた」ありて今日

新社員

2018/04/21 Sat

    湖にぎやか新社員らのバスも来て /むく

         (うみにぎやか しんしゃいんらのばすもきて)



 雪解富士 (2018.4.20 山中湖:山梨県南都留郡)


 4月20日(金)。
 御殿場から山中湖へ仮庵を移す。
 新居は写真の土産物屋さんがある湖畔から1kmほど入ったところにある、落葉松(からまつ)林に囲まれたマンション。
 とりあえず荷物を移しただけ。
 新居も旧居も整理は後日にして、ご近所への土産を買って横須賀に戻る。
 どっと疲れが出た。

 (2018年4月21日 横須賀にて)




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代掻き

2018/04/19 Thu

    菜の花の倒されてゆく代田掻き /むく

         (なのはなのたおされてゆく しろたかき)



 棚田の春 (2018.4.13 仁杉:静岡県御殿場市)


 (前回記事の続き)

 厳寒の水田(みずた)に入って水かけ菜を摘む光景を見たい、写真も撮りたいという思いに駆られた。
 しかし、今冬は御殿場で過ごす時間が取れず、所用で2度ほど一泊しに来ただけに終わった。
 通る道すがらに会えはしないかと、東名高速道は使わず、二宮、松田、小山を経由する街道を通って御殿場に入ったが、街道沿いの田んぼに水かけ菜を見つけ出すことは出来なかった。

 ある日、去年の5月に御殿場の棚田に散っていた花びらは水かけ菜の菜花ではなかったのかという妄想が、ふと脳裏をかすめた。
 水かけ菜の残り花を緑肥として一緒に耕耘するのではないか…水かけ菜の菜花を見つけ、代を掻く日を待っていれば、それをこの目で確かめることができるかもしれない…それなら今からでも間に合いそうだ、と期待が膨らんだ。

 4月12日。
 去年代田(しろた)の写真を撮った同じ場所へ足を運ぶと、少し離れたところにある2枚の田んぼに菜の花が咲いているのを見つけた。
 果たしてその菜の花が水かけ菜のものかどうか、誰かに訊ねたかったが、辺りには一人の人影もない。
 代掻きをする日はいつだろうか。
 今日は午後3時を回ったことだし、これから代掻きをするとは思えない。
 明日また来て見よう。
 いつ雨が降り出すかもしれない空模様だが、どんな天気でも明日の朝また来てみよう。
 代掻きを見逃さないように、毎日でも来よう…と決めた。

 4月13日。
 富士山がすっぽり雲に隠れ、穀雨近しの空模様。
 朝食もそそくさと、ガンコちゃんと二人で棚田を見に行く。
 菜の花はまだ残っていた。
 ときどき雲の切れ間から富士山がちょっぴり顔を覗かせる。
 菜の花と富士山の写真を撮っていると、1台の耕運機がやってきた。
 見ていると、その耕運機は農道を折れて、なんと菜の花が咲いている田んぼに入ってゆくではないか!
 写真を撮るのを止め、小走りに耕運機に近寄り、帽子を脱いで機を操縦している人に声をかけた。

 「あぁ、水かけ菜の菜の花だよ。
 今年は寒波の頃に鴨がたくさんやってきて、芽をほとんど食い荒らしてしまって収穫できなかった。
 その残りが育って今咲いているこの菜の花になった。
 これから代掻き。
 いつも4月20日以降にやるんだけど、しばらく天気が崩れそうだし、雨が降ると耕運機が田んぼに入れなくなるから。
 菜の花はそのまま倒して土と一緒に耕す。
 そうすると他の肥料なしでもちゃんと稲が育つ。」

 4月20日は二十四節気の穀雨。
 時代が変わっても、農に携わる人には二十四節気がこんな風に生きているのか。
 田んぼの菜の花に抱いていた私の疑問が一気に解け、嬉しくて涙が出そうになった。

 代掻きの人は耕運機のエンジンを切って手を休め、こんな話もしてくださった。
 「水かけ菜を作る農家もすっかり少なくなった。
 以前、NHKが『奇跡の山富士山』という番組制作で、この田んぼに1年間通ってきたことがあった。
 それから水かけ菜の菜の花の写真を撮る人がたくさん来るようになった。
 東京から毎年バスで来るプロカメラマンもいるよ。
 今年はまだ来ていないけど。」

 思いがけず、大変な菜の花と巡り合ったようだ。
 感動的な逸話まで聞くことが出来たこの日は、一生忘れられないことだろう。




 代田掻き (2018.4.13 仁杉:静岡県御殿場市)


 (2018年4月19日 御殿場にて)



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耕運機

2018/04/17 Tue

    雨の来るらし耕運機田へ急ぐ /むく

         (あめくるらし こううんきたへいそぐ)



 穀雨前 (2018.4.12 仁杉:静岡県御殿場市)


 例年、御殿場の田植えは5月連休の間に行われるようだ。
 昨年のちょうどその頃、よく整地された大きな棚田が広がる一帯へ、代掻きと田植えの光景を見に行った。
 穏やかな日ではあったが少しだけ風があって、水田(みずた)がさざなみ立ち、水面に映る雪解(ゆきげ)富士を曇らせていた。
 水田の水面のところどころに黄色い花が散っているのが見えて、おやっと思った。
 初めはタンポポかと思ったのだが、その花びらの形から、どうやら菜の花の残骸らしいと思われた。
 菜の花の残骸が水面に点在しているのは、その一枚の棚田だけで、他の田んぼには見られなかった。
 この棚田だけ、どうして菜の花が散っているのだろう?と大いに気になった。

 やがて迎えた冬も終わりにさしかかると、御殿場は「水かけ菜」が楽しみな季節になった。
 と言っても、去年の早春に頂き物を一度口にしただけなので、大きなことは言えない。
 が、この希少な冬の緑野菜を美味しく戴いた後で、「水かけ菜」というユニークな名前の由来を知りたくて、インターネットなどで来歴を調べたりもした。

 ・ 水かけ菜は、漢字では「水掛(け)菜」と表記され、「とう菜」(薹菜、冬菜、唐菜)の別称でも知られるアブラナ科の葉野菜である。
 ・ 御殿場の水かけ菜は、主にもち米を栽培した水田や休耕田に水温12℃前後の富士山の湧水を引き込んで栽培される。(湧水が引き込めないと育たない。)
 ・ 早春に、薹立(とうりつ)した茎を手作業で一本一本摘み取って収穫する。
 と、こんなことが分かった。

 水かけ菜は、いわば富士山の湧水の恵みの一つなのだと言えようか。
 その水かけ菜をふたたび味わうことを楽しみにしていたのだが、もろもろの事情から今冬はほとんど御殿場で過ごすことが出来ず、口にすることが出来なかった。
 
 また会うことの叶わない水かけ菜への恋しい思いに沈んでいたある日・・・
 (と、これは長い話になりそうだぞ…続きはまた次回。) 

 (2018年4月17日 御殿場にて)




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畔塗(あぜぬり) / 背黒鶺鴒(せぐろせきれい)

2018/04/16 Mon

    畔塗や雉の見廻るもぐら穴

         (あぜぬりや きじのみまわるもぐらあな)




 コンクリートの畔 (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)



 キジ (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)



 粗しろ (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)


 キジが畔のもぐら穴をパトロールしている…というのは冗談です。

 畔にもぐらが穴を開けると田んぼの水が抜けてしまいます。
 もぐらは農家さんにとって大敵。

 畔塗りも近代化、機械化が進み、むかしとは随分変わりました。
 「もぐら穴探知機」なんていうのは実用化されていないんですかね。
 ありそうな気もしますが。

 見たことはありませんが、九州地方には「もぐらたたき」ならぬ「もぐら打ち」という正月行事があるとか。
 春の御殿場は、どこに行ってもキジと出遇えます。
 春の御殿場の風物詩「もぐら雉」を、ぜひキャッチコピーにすることを推奨します♪



 セグロセキレイ (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)


 セキレイも通年見られる鳥ですが、歳時記では夏の季語。


    かと思ふ背黒せきれい顎も黒 /むく

         (かとおもう せぐろせきれいあごもくろ)


 (2018年4月16日 御殿場にて)



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五十雀(ごじゅうから)

2018/04/15 Sun

    五十雀その名通りの吾が句歴 /むく

         (ごじゅうから そのなどおりのわがくれき)



 さえずるゴジュウカラ。
 小さいのに、とてもよく通る美しい声です。



 餌を捕まえました。


 ゴジュウカラ (2018.4.13 十里着高原:静岡県裾野市須山)


 下向きの姿勢で幹を自由自在に動き回ります。

 留鳥ですが歳時記では夏の季語。



 富士桜 (2018.4.13 富士山須山登山歩道:静岡県裾野市須山)


 十里木高原はまだまだ寒い。
 横須賀では桜が見ごろを過ぎた3月31日、ここでは雪が降ったという。
 あまりたくさん目にすることは出来なかったが、ソメイヨシノや山桜はちょうどいま見ごろを迎えているようだ。
 海抜千メートル近いこの辺りには、富士桜と呼ばれるマメザクラがよく似合う。

 (2018年4月15日 御殿場にて)




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春愁(はるうれい) / 行く春 / 花の頃 / 春

2018/04/15 Sun

    仮庵を畳みつすこし春うれひ

         (かりいおをたたみつ すこしはるうれい)


    行く春やいつかは離る仮住居

         (ゆくはるや いつかははなるかりずまい)


    花のころ仮庵も背負ふ旅ごころ

         (はなのころ かりおもせおうたびごころ)


    春あまねし留まるものへ行くものへ /むく

         (はるあまねし とどまるものへゆくものへ)



 ツグミ (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)


 むくではありません。


 飛燕 (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)


 撮ってから気づいたイワツバメ。
 普通のツバメのように燕尾が長くありません。
 全体に色が白黒のツートーンで小ぶりでもあり、少し見慣れれば飛行中でも肉眼でほぼ識別出来そうです。
 後姿ですが、撮れたのでまあ良しと。



 イソシギ? (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)



 かや野の春 (2018.4.12 散歩道:静岡県御殿場市)


 富士山中腹の峠を一つ越えて、仮庵を御殿場から山中湖湖畔に移すことに。
 いつものように、ガンコちゃんにはまた「これが最後の引っ越し」と。
 今回も禁煙のペナルティが課されたが、さて…。

 (2018年4月15日 御殿場にて)




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桜まじ / 木の芽晴(このめばれ)

2018/04/14 Sat

    桜まじ海の匂ひの夜明け前

         (さくらまじ うみのにおいのよあけまえ)


    木の芽晴ひとつ過ぎりし鳥の影 /むく

         (このめばれ ひとつよぎりしとりのかげ)


 追記: 元の句「鳥影を待ちゐる渓の芽立ち美し」を推敲。(2018.4.16)

 桜まじ: 桜が咲く頃に吹く暖かい南風。


 夜明け (2018.4.10 東山:静岡県御殿場市)



 春の朝 (2018.4.10 散歩道:静岡県御殿場市)



 木の芽晴れ (2018.4.10 散歩道:静岡県御殿場市)


 (2018年4月14日 御殿場にて)



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山吹(やまぶき) / 遅桜(おそざくら)

2018/04/13 Fri

    橋高し峪の向うのやまぶき黄

         (はしたかし たにのむこうのやまぶきき)


    乗り降りの少なき鉄路おそざくら

         (のりおりのすくなきてつろ おそざくら)


    遅桜ことば少なく別れ来し /むく

         (おそざくら ことばすくなくわかれきし)



 駅のポスター (2013.09.02 JR小海線信濃川上駅:長野県南佐久郡川上村)


 この手の写真を撮ることは滅多にしない私だが…やっぱりサユリストの端くれか。
 最後の句はフィクションですヨ。>ガンコちゃん



 ヤマブキ


 (2018年4月13日 御殿場にて)



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浜大根咲く / 囀り / 地獄の釜の蓋 / ポピー

2018/04/13 Fri

    さくら色浜大根の咲く磯も

         (さくらいろ はまだいこんのさくいそも)


    囀りの届いたらしや礁にも

         (さえずりのとどいたらしき いくりにも)


    だう見ればこれが地獄の釜の蓋

         (どうみれば これがじごくのかまのふた)


    花ポピー帽子も同じ双子の児 /むく

         (はなぽぴー ぼうしもおなじふたごのこ)



 浜大根の花 (2018.4.5 観音崎:神奈川県横須賀市)



 イソヒヨドリ(雌) (2018.4.5 観音崎:神奈川県横須賀市)



 春深し (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)



 キランソウ (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)


 キランソウの別名は「ジゴクノカマノフタ」。


 ポピー園 (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)



 ネモフィラ (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)



 ポピー (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)


 初夏の花ポピー。
 賑やかになるのはもう少し先。


 (2018年4月12日 御殿場にて)



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母子草(ははこぐさ) / 猫の眼草(ねこのめそう)

2018/04/11 Wed

    人の言ひて立止まりけり母子草

         (ひとのいいてたちどまりけり ははこぐさ)



 ハハコグサ(2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)


 母子草は春の七草の御形(ごぎょう)ですね。
 草餅と言えば「よもぎ餅」が定番ですが、むかしは母子草が使われ、その名もく「母子餅」と呼ばれていたそうです。
 いまでも作っている地方はあるのかもしれませんね。



 ハルノノゲシ (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)


 母子草と一緒に咲いていたハルノノゲシ。
 外来種とは言え未だ歳時記にもなく、なんと慰めたら良いのやら。



 露出した種が猫の目のようなネコノメソウ (2018.4.8 くりはま花の国:神奈川県横須賀市)



    猫の眼草すこし零れてゐる瞳 /むく

         (ねこのめそう すこしこぼれているひとみ)


 (2018年4月11日 御殿場にて)



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プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
職業:産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、静岡県御殿場市。

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