渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~ 2018年03月
FC2ブログ
雪渓の細き一条富士の紺

春 / ぶらんこ

2018/03/24 Sat

    春なれや外に遊ぶ子のみな親し

         (はるなれや とにあそぶこのみなしたし)


    産み月とぶらんこの子の母笑ふ /むく

         (うみづきと ぶらんこのこのははわらう)



春風に (散歩道:神奈川県横須賀市)


 出不精の私でも春は外を歩くのが楽しくなる。
 どこでもいい。
 春光を浴び、春風に吹かれるだけで気持ちがいい。
 子供たちの遊び声などは、時を忘れて聞いていたくなる。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

春の音

2018/03/24 Sat

    潮の目をさかる一舟春の音 /むく

         (しおのめをさかるいっしゅう はるのおと)


春の夕凪 (散歩道:神奈川県横須賀市)


 追記: いつもは月が変わってから更新する背景写真と過去の拙句ですが、今年は桜の開花が早いので少し前倒しして模様替えしました。
 長年にわたって朝日新聞に連載された『折々のうた』の著者大岡信さんが亡くなられたのは昨年の4月5日。
 背景写真に挿入した拙句はその追悼句でした。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

春の磯

2018/03/23 Fri

    海うしの雨ふらしのと春の磯 /むく

         (うみうしのあめふらしのと はるのいそ)



若布刈り (散歩道:神奈川県横須賀市)


 2018年3月22日(木)

 春の花めぐりの散歩が続いていたので、目先を変えて今日は海岸へ。
 長い防潮堤を利用して造られた遊歩道を歩く。
 防潮堤のガードレールに手を置いて潮の引いた海を覗き込むと、護岸の波打ち際の海面が芥(あくた)で埋め尽くされている。
 風に押し寄せられたらしい。
 潮の引いた浅い海底を埋め尽くすように赤茶けた海藻(かいそう)が密生していて、寄せる波返す波にゆらゆらと揺れている。

 「くらげ!」
 ガンコちゃんが叫ぶ。
 「くらげなんて珍しくないでしょうが」と、にべもなく言う私。

 「足が長いよ。
 赤くらげだ…珍しい!
 いつもは水くらげしか居ないんだから。」

 手だか足だか尾っぽだか、それが長かろうが短かろうが、色が白かろうが赤かろうが、くらげはくらげ…と思う。
 が、水くらげと赤くらげの違いを知らないことに気づく。
 知らないのに見ないのではさすがに悪いと思い直し、ちょっとだけ見た。

 赤くらげなるその生き物は、長い足だか手だか尾っぽだかをだらりと水中に垂らして漂っていた。
 捕まえられた蛸が棒の先か何かにぶら下げられて、だらしなく伸びている姿に似ている。

 「それより、あれを見てごらん。
 ほら、海底に赤茶けた藻(も)がびっしり生えてるでしょ?」

 「ホンダワラかな?」
 「何?」
 「ホンダワラ、だと思う。」
 また私の知らないことを言う。

 なんでもよく知っているなぁ…と感心もするが、今はホンダワラが本題ではない。
 (「穂俵(ほだわら)」等の異名もある「ほんだわら」はれっきとした季語として歳時記にも収載されていることを、家に戻って調べてから知った。)

 「ホンダワラだかニセダワラだか知らないけど、その藻の間に何か白っぽいものがうごめいているでしょ?
 あれ、なんだろうね?
 ウミウシ(海うし)かなぁ。
 ずいぶん大きいけど、角(つの)のようなものもあるよ。
 ほら、角が動いている。」

 動植物には守備範囲の広いガンコちゃんだが、それがウミウシという判断を俄(にわ)かには下せないでいる様子。
 「…かもね」とひと言つぶやいたきり、すぐまた赤くらげの写真の続きを撮り始めた。

 ウミウシは一度見たことがある。
 ガンコちゃんと一緒に、「葉山しおさい公園」という、かつて葉山御用邸の付属邸があった敷地に開設された庭園に行った時のことだった。
 園内の博物館に昭和天皇ゆかりの品々が展示されていて、館内の一角に置かれた水槽にウミウシが飼育されていたのだった。
 熱帯魚のように鮮やかなコバルトブルーの、手の指にも乗りそうなほど小さなウミウシだった。
 昭和天皇がウミウシ研究の学者だったことは、生前からよく知られていた話である。

 いま目の前で見ている生き物は、ウミウシと形は似ているのだが、かなり大きくて、体長が少なくとも20cmはある。
 色もモノトーンで、ゆっくりではあるが動いている分、海鼠(なまこ)よりも不気味に見える。
 これがウミウシだとすると怪物級の珍種かもしれない。
 
 折よく、遊歩道を散歩中の熟年のカップルが通りかかった。
 「珍しい動物がいるんですが、あれ、何でしょうね?」
 と、訊ねる。

 「ウミウシだね。」
 間髪を入れず、ご主人らしい人の明答が返ってきた。
 「この辺りを覗いて歩くと、いっぱいいるよ。
 あっちこち、びっしりと。」
 「びっしりと…ですか?」

 そんなにたくさん居るものに今日まで気付くことのなかった身の不明を恥じながら、ホンダワラとかいう藻が密生している海底を目を凝らして覗いて歩くと、たしかに居る、居る。
 いたるところウミウシだらけだった。

 「春だから、産卵のために岸にやって来たんだろうか?」
 ウミウシを覗き込みながら、ガンコちゃんにつぶやく。

 「アメフラシ(雨ふらし)かもしれないよ。」
 また変なことを言うガンコちゃん。
 アメフラシは聞いたことのある名前だが、見たことはない。

 「観音崎だったかなぁ…どこかでウミソーメンを見たことがある。
 「海素麺?」
 「うん、産卵したアメフラシの卵がスパゲティ状になってるの。」
 「??」
 
 知らないことを次から次と耳にして、頭の整理が追い付かない。
 俳句歳時記に「海うし」や「雨ふらし」なんてあったかな?

 家に戻って調べてみると、山本健吉編『最新俳句歳時記』(春)には、「うみうし」と「あめふらし」が共に春の季語として収載されているらしいと分かった。
 他のほとんどの歳時記には未掲載だそうで、私が使っている歳時記や季寄せにもない。
 アメフラシもウミウシの一種とする学説もあるらしい。
 互いにごく近しい仲間同士ではあるようだ。
 季語として定着していないのは、学説が定まっていないためでもあろうか。

 アメフラシは雌雄両性だということだ。
 その産卵形態である「海素麺」は気になる。
 これからしばらく、海岸を散歩するたびに思い出すことだろう。
 ぜひ目にしたいものだが、見たその日から、スパゲティやラーメンは食卓から遠のくことになるかもしれない。
 
 ※ 「うみうし」と「あめふらし」についてもっと知りたい方は、図鑑、wikipedia等をご参照ください。



アメフラシ (散歩道:神奈川県横須賀市)




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

磯うらら

2018/03/22 Thu

    婚姻の色に鵜の佇つ磯うらら /むく

         (こんいんのいろにうのたつ いそうらら)


海鵜(うみう) (散歩道:神奈川県横須賀市)


 鳥の羽は一年に何回か生え変わる。
 これを換羽(かんう)と言い、冬羽(ふゆば)から夏羽(なつば)に変わるなどと言う。
 羽の生え変わり方や生え変わる時期は鳥によって異なる。

 婚姻色とは「魚類や両生類、爬虫類などの一部の動物種に、繁殖期に現れる平常時とは異なった体色や斑紋」(wikipedia)だそうだが、鵜の場合も、繁殖羽(はんしょくう)を婚姻色とも呼ぶ。
 生殖羽(せいしょくう)と呼ぶこともあるようだ。
 無論、婚姻色が顕著なのは雄のほうである。

 下の写真は冬羽の海鵜。





にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

霾る(つちふる)

2018/03/22 Thu

    霾るやちかごろ声のしゃがれ気味 /むく

         (つちふるや ちかごろこえのしゃがれぎみ)



山茱萸(サンシュユ) (散歩道:神奈川県横須賀市)


 「声は若さのバロメーター」ではあろうが、それは如何ともしがたい。
 「健康のバロメーター」だと言い聞かせて節制に努めなくては。
 ガンコちゃんがうるさいので、明日はしぶしぶ定期検診に。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

麗(うらら) / 涅槃雪(ねはんゆき)

2018/03/21 Wed

    山の湖きのふは麗けふは霏霏

         (やまのうみ きのうはうららきょうはひひ)


    涅槃雪とんぼがへりの山の家 /むく

         (ねはんゆき とんぼがえりのやまのいえ)


 ちょっとした用事をお願いした箱根仙石原に住む人から電話。
 「けっこう雪が積もってきて、今日明日に御殿場に行くのはちょっと。」
 インターネットのライブカメラ映像を見ると、乙女峠を越えた御殿場側も、市街に至る道や原野が一面まっ白になっている。
 昨日、雨が雪に変わる前に横須賀に帰ってきたのは正解だったようだ。



峠越え (須走:静岡県駿東郡小山町)



白鳥 (山中湖:山梨県南都留郡山中湖村)



富士五湖の湖面の標高と水深


 冬、山中湖は厚く結氷することがよくあり、氷上でワカサギ釣りが出来ることで知られています。
 かつて、西湖、精進湖、本栖湖は「せ(剗)の海」と呼ばれる大きな一つの湖の一部でしたが、貞観6年(864年)に起こった富士山の大噴火によって大量の熔岩が湖に流れてその大部分が埋まり、湖としてわずかに残ったのが今日のそれら3つの湖だそうです。
 古代の「せの海」は更に大きく、研究者はそれを「古せの海」と呼んでいます。
 かつての山中湖は現在の忍野八海とつながっており、その全体が「宇津(うつ)の海」と呼ばれていたそうです。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

春の雷

2018/03/21 Wed

    すこし荷を負ひ過ぎたらし春の雷

         (すこしにをおいすぎたらし はるのらい)


    すこしづつ捨てて老ゆべし春の雷

         (すこしづつすてておゆべし はるのらい)


    春の雷捨つべきものを捨てられず

         (はるのらい すつべきものをすてられず)


    煮え切らぬその物言ひや春の雷 /むく

         (にえきらぬそのものいいや はるのらい)



水仙




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

春寒し

2018/03/20 Tue

    春寒しむささびの声さざなみて

         (はるさむし むささびのこえさざなみて)


    春寒しむささびつひに現れず /むく

         (はるさむし むささびつひにあらわれず)



沈丁花


 いつもバルコニーで一服する私は何度も耳にしているむささびの声。
 ガンコちゃんにも聞かせてあげようと思った昨夜は、あいにく雨に。
 いずれまた。

 天気が下り坂で、箱根や御殿場は雪になりそうだという予報。
 用事も済んだので、予定を早めて一旦横須賀に。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

耕す

2018/03/20 Tue

    ささやかに耕し大き富士仰ぐ /むく

         (ささやかにたがやし おおきふじあおぐ)



春光  (東山:静岡県御殿場市)


 御殿場の寓居近くの、いつもは開店休業状態の無人直売所に、青菜が置かれていた。
 御殿場の冬の風物詩「
水かけ菜」のようだ。
 車で箱根に行く途中だったので、帰りに買うことにした。
 箱根から戻ってふたたび覗いてみると、直売所の棚は空っぽになっていた。

 この辺りのどこかに貸し農園を見つけて、小さな菜園で夏野菜を育ててみたいと夢見ている。
 私の…というよりは、ガンコちゃんの夢だが。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

彼岸寺(ひがんでら) / 初桜(はつざくら)

2018/03/17 Sat

    たれかれと久闊を叙し彼岸寺

         (たれかれときゅうかつをじょし ひがんでら)


    久闊を解くひと言初ざくら /むく

         (きゅうかつをほどくひとこと はつざくら)



 小さな最寄り駅の改札の外で、遠方からお越しになるご一同を出迎える。
 やがてお着きになった皆さんと駐車場に向かう、うららかな道。
 ご一同の一人が、感心したように横須賀の暖かさを口にされた。
 そして、「初花(はつはな)!」と。

 明日から数日、御殿場へ。




にほんブログ村 ポエムブログ 俳句へ ご訪問ありがとうございました。

テーマ : 詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。人生の大半は首都圏暮し。海外生活約10年。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、山梨県山中湖村。

最新記事
カテゴリ
月別アーカイブ
最新コメント
リンク
検索フォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR