渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~ 2014年05月
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雪渓の細き一条富士の紺

月刊『俳句界』掲載句 (2014年)

2014/05/25 Sun

月刊 俳 句 界  掲載句 (2014年)




        霧晴れて煙突高き発電所

        (きりはれて えんとつたかきはつでんしょ)
        2014年12月号 雑詠 辻桃子選:佳作



        パン屑を鴎に投げつ秋の航

        (ぱんくずをかもめになげつ あきのこう)
        2014年12月号 雑詠 豊田都峰選:佳作/角川春樹選:佳作



        夏雲湧く日付変更線の海

        (なつぐもわく ひづけへんこうせんのうみ)
        2014年11月号 兼題「雲」 田中陽選:佳作



        遅れてはまた母を追い祭の子

        (おくれてはまたははをおい まつりのこ)
        2014年11月号 雑詠 伊藤通明選:佳作/辻桃子選:佳作
        ※ 現代仮名遣い


        古茶新茶食後の薬忘れずに

        (こちゃしんちゃ しょくごのくすりわすれずに)
        2014年10月号 兼題 山下美典選:佳作



        山百合の花曼荼羅の中に居る

        (やまゆりの はなまんだらのなかにいる)
        2014年10月号 雑詠 宮坂静生選:秀逸/辻桃子選:秀逸
        角川春樹選:佳作/保坂リエ選:佳作



        庭石菖芝やわらかく空青し

        (にわせきしょう しばやわらかくそらあおし)
        2014年9月号 雑詠 保坂リエ選:佳作/宮坂静雄選:佳作



        髪を束ね引き絞りたる春の弓

        (かみをたばね ひきしぼりたるはるのゆみ)
        2014年8月号 雑詠 宮坂静雄選:佳作



        雪椿野点の列に吾も一人

        (ゆきつばき のだてのれつにあもひとり)
        2014年6月号 雑詠 宮坂静雄選:佳作



        早春やふふめるものは色の濃し

        (そうしゅんや ふふめるものはいろのこし)
        2014年6月号 雑詠 豊田都峰選:佳作



        水仙やマリア観音なる古仏

        (すいせんや まりあかんのんなるこぶつ)
        2014年5月号 雑詠 豊田都峰選:佳作



        石蕗の花谷戸の小家に日当たりて

        (つわのはな やとのこいえにひあたりて)
        2014年4月号 雑詠 辻桃子選:佳作/豊田都峰選:佳作/
        山本洋子選:佳作



        学歴を中卒と言い燗熱し

        (がくれきをちゅうそつといい かんあつし)
        2014年3月号 兼題「学」 田中陽選:佳作    



        留学の子にセーターを編みくれし

        (りゅうがくのこに せーたーをあみくれし)
        2014年3月号 兼題「学」 山下美典選:秀逸



        五郎助ホーそろそろ煮える男鍋

        (ごろすえほー そろそろにえるおとこなべ)
        2014年3月号 雑詠 有馬朗人選:佳作/伊藤通明選:佳作     



        お前さんも相当がんこ石蕗の花

        (おまえさんもそうとうがんこ つわのはな)
        2014年3月号 雑詠 茨木和夫生選:佳作



        銀河濃し大の字になる草の原

        (ぎんがこし だいのじになるくさのはら)
        2014年1月号 兼題「原」 佐藤麻績選:佳作 // 雑詠 角川春樹選:佳作



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月刊『俳句界』掲載句 (2013年)

2014/05/24 Sat

月刊 俳 句 界  掲載句 (2013年)




        谷戸に来て夕ひぐらしに包まるる

        (やとにきて ゆうひぐらしにつつまるる)
        2013年12月号 雑詠 辻桃子選:佳作/豊田都峰選:佳作     



        茗荷の子竹取姫と抱き上げる

        (みょうがのこ たけとりひめとだきあげる)
        2013年12月号 雑詠 宮坂静生選:佳作
        ※ 現代仮名遣い・口語


        暑くなりそうだ運河に魚跳ねて

        (あつくなりそうだ うんがにうおはねて)
        2013年11月号 雑詠 池田澄子選:秀逸/有馬朗人選:佳作/
        辻桃子選:佳作
        ※ 現代仮名遣い・口語


        坂多き半島の町枇杷実る

        (さかおおきはんとうのまち びわみのる) 
        2013年10月号 「第7期蕪村顕彰全国俳句大会」 千原叡子選:佳作



        ドアに差す新聞の音明易し

        (どあにさすしんぶんのおと あけやすし)
        2013年10月号 兼題「音」 大高霧海選:佳作



        新しい街の息吹に花水木

        (あたらしいまちのいぶきに はなみずき)
        2013年9月号 雑詠 有馬朗人:佳作/角川春樹選:佳作
        ※ 現代仮名遣い


        パトカーも弁当を買う春隣

        (ぱとかーもべんとうをかう はるとなり)
        2013年6月号 俳句ボクシング 岸本マチ子選:リングサイド(佳作)
        ※ 現代仮名遣い・口語


        駅へ急ぐ人のどことはなしに春

        (えきへいそぐひとのどことはなしに はる)
        2013年6月号 雑詠 有馬朗人選:佳作/伊藤通明選:佳作



        春暁イージス艦の粛々と

        (はるあかつき いーじすかんのしゅくしゅくと)
        2013年6月号 雑詠 池田澄子選:佳作



        雪国で暮らす予定と初電話

        (ゆきぐにでくらすよていと はつでんわ)
        2013年5月号 雑詠 奈良文夫選:佳作



        陸橋の下の列車の雪国から

        (りっきょうのしたのれっしゃの ゆきぐにから) 
        2013年5月号 雑詠 伊藤通明選:佳作



        朝日のア手袋のテと読んだ頃

        (あさひのあてぶくろのてと よんだころ)
        2013年3月号 兼題「手」 大高霧海選:佳作
        ※ 現代仮名遣い・口語


        海からの朝日よ風よ群すすき

        (うみからのあさひよかぜよ むらすすき)
        2013年2月号 雑詠 池田澄子選:佳作/大串章選:佳作




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「惜春」掲載句・掲載記事:2014年5月号

2014/05/23 Fri

惜 春   2014年5月号 掲載句・掲載記事



 雑詠(風人子選)

         淑気かな鳥居を一つ潜るごと

          (しゅくきかな とりいをひとつくぐるごと)


         うるめいわし時には飲んで帰る日も

          (うるめいわし ときにはのんでかえるひも)


  2014年2月横須賀吟行会(風人子選)

         貝を焼く小屋の匂ひも春めきて

         (かいをやくこやの においもはるめきて)

  春秋箋



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月刊『俳句界』掲載句 (2012年)

2014/05/23 Fri

月刊 俳 句 界  掲載句 (2012年)




        戦後直ぐの句誌に父の名八月尽

         (せんごすぐのくしにちちのな はちがつじん)
         2012年11月号 め~る一行詩 編集部選:佳作



        マロングラッセひとまず秋の遣い物


         (まろんぐらっせ ひとまずあきのつかいもの)
         2012年11月号 め~る一行詩 編集部選:佳作
         ※ 現代仮名遣い

 ※ 俳句を始めて十余年。『惜春』(主宰:高田風人子先生)に入会することを決める。同時に月刊『俳句界』購読・投句を開始。以後、『惜春』での作句は歴史的仮名遣いで行うが、数年の間、『俳句界』への投句は従来採ってきた現代仮名遣いで行うことになる。(2019年5月追記)



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がまずみの花

2014/05/23 Fri

2014/05/18 ガマズミ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 ガマズミ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 この花の名前が「ガマズミ」であると知ったのは最近のことです。
 子供時代を過ごした宮城県の仙北地方では、「ソゾミ」と呼んでいました。
 もっとも、私は秋に真っ赤に色づいたその実のことをソゾミと呼んでいたのであって、花のことは覚えていませんでした。
 木を「ソゾミの木」とは呼んでいたようにも思います。

 初夏にはツツジの花を、秋にはソゾミ(の実)を、学校帰りの道端などで見かけてはよく摘んで食べたものです。
 え、馬みたい?
 そりゃムクゲの花でしょう。

    道のべの木槿は馬にくはれけり /芭蕉

 …ってね。
 「小鳥さんみたい」とか言ってよ、ガンコちゃん。
 おサルさんみたい…って、あんまりだ!

 別にお腹の足しにしたくて食べた訳ではありません。
 「食べられる」というので好奇心からです。
 スカンポを食べたのも同じような動機からだったと思います。
 (スカンポの場合は新聞紙に包んだ塩をポケットに忍ばせて歩いていましたから、ちょっと違うかな?)
 どれも酸っぱかったですね。

 今の子供さんたち、そんなことはしなくなったでしょうね。

 ソゾミの実を絞ると、真っ赤なジュースになります。
 ザクロジュースのような、透き通るように鮮やかな赤い果汁です。
 飲んだことはありませんが。

 「ガマズミ」も「ソゾミ」も、語源はあまりはっきりしないようです。
 ロシア語では「カリンカ」だとか。
 あの有名なロシア民謡の題名はガマズミのことだったんですね。

 歳時記では「がまずみ=秋」(角川書店・新版『季寄せ』)となっています。
 虚子は「完全ではない」という前提付きで「実は全て秋」にしたと聞いたことがあります。

 私の歳時記には見当たりませんが、「がまずみの花」には十分に初夏の季感があると思います。
 季語に認めている歳時記もあるのかもしれませんね。


2014/05/18 ガマズミ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 ガマズミ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

    くもの巣を払いつつ子らそぞみ摘む /むく

 景は秋になりますが。



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薔薇

2014/05/22 Thu

2014/05/18 薔薇(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 薔薇(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 「バラはきれいねー。
 誰がどう撮っても。」

 すごい形容のし方があるものだ…フォローを忘れてるけど。
 でもホントにその通りだと思います。

 ――肥料も手入れもたんと必要だけど、水はけの良い土じゃないとダメ。
    贅沢好みで金のかかる女。

 いえ、あなたのことじゃありません、ガンコちゃん。


2014/05/18 薔薇(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 薔薇(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

    Rose, oh reiner Widerspruch, Lust,
    Niemandes Schlaf zu sein unter soviel
    Lidern.

    薔薇よ、おお純粋なる矛盾、
    それだけ多くのまぶたの下に、誰の眠りも宿さぬことの
    喜びよ


 バラの棘に刺された傷がもとで白血病にかかって命を失ったリルケの詩。

2014/05/18 ネモフィラと矢車草(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 ネモフィラと矢車草(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 絵を描いているのはお金のかからないガンコちゃん。



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白あじさい

2014/05/22 Thu

2014/05/18 白あじさい(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 白あじさい(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 アナベルというのでしょうか。
 白あじさいが一輪、大輪に。
 蕾は緑ですが、咲くと真っ白になるんですね。

 あまり白いと、何やら恥ずかしいような気持に駆られます。
 アナベルはアメリカで作られたのだとか。
 なるほど。

 濃くまた淡く、とりどりの他の紫陽花が咲き出すのももう間もなくでしょうか。




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矢車草

2014/05/22 Thu

2014/05/18 矢車草と麦なでしこ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 矢車草と麦なでしこ(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 撮った写真を眺めていたところ、矢車草と一緒に咲いているうす紫の花の名前が分かりません。
 ガンコちゃんが戻って来てから訊ねてみました。
 「え、よく聞こえない。」
 キッチンで洗い物をしているところでした。

 「矢車草と一緒に咲いていた紫がかったピンクの、すこしラッパ形をした茎の長い花の名前、知ってますか?」と、声を大きくして背中から訊ねました。
 「あ、あれね。
 アグロス・テンマ。
 ムギなんとかとも言うと思う。
 調べてみて。」

 「アグロ…、覚えきれない。
 もう一度」と聞き直しました。

 インターネットで検索するとすぐに分かりました。
 "Agrostemma"、"Agro"(野=ギリシャ語)と"Stemma"(冠=ラテン語)の合成語。
 ガンコちゃんが「アグロス天馬」ではなく「アグロ・ステンマ」と聞こえるように教えてくれればもう少し覚えやすかったのに…。

 外来植物の一つですが、「ムギセンノウ」、「ムギナデシコ」という和名もあります。
 おや、英名は"Corncockle"!
 矢車草の英名は"Cornflower"ですから、混植してあったのは、共に名前に"Corn-"が付くという洒落からだったのでしょうか。
 たまたま…という気もしますが。

 アグロステンマの原産は地中海の東方ということですが、私は見た覚えがありません。
 ヨーロッパでは麦に混じって咲くために小麦粉に混じり込んでしまうので、歓迎されない雑草扱いされてきたようです。
 「麦畑の中に咲いている」景色を見たことはあるような、ないような。
 今のように俳句にも縁がなかったので、矯(た)めつ眇(すが)めつして花を眺めることもありませんでしたが。

 和名は「ムギセンノウ」が一般的なようですが、私は「麦撫でし子」と覚えたい。

 
2014/05/18 アガパンサス(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 アガパンサス(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 アガパンサスは"Agape"(ギリシャ語=愛)と"anthus"(ギリシャ語=花)の合成語だとか。
 「エロース」ではなく、人間に対する神の愛を意味する「アガペー」。
 すごい名前が付いているものですね。

 花とは関係ありませんが、月刊『俳句界』5月号に「あなたはどっち 旧かなの魅力 新かなの魅力」という、ちょっとハッとするようなタイトルの特集がありました。
 俳句結社の高齢化に関する各主宰アンケート回答を特集した4月号に続いての企画です。

 5月号の特集もアンケート回答に近いものなのですが、それぞれの仮名遣いの「魅力」と言いながら、実は「どちらにすべきか」について論議していきたいという、質問を企画した出版社が意図は明確です。
 また、この問題は4月号の特集である「結社の高齢化」とも少なからず関係している、と私は思っています。

 旧かな・新かなの問題には、これまで多分にアンタッチャブルな側面があったと思います。
 一号限りの特集ではなく、白熱した議論が継続されていくことを期待したいものです。

 このことについて縷々私見を書きたいと思っていましたが、ここに書くよりも考えを整理することがまず先、と思って取り敢えず先延ばし。

 これだけは持論として書いておきたいと思います。
 既に何冊もの句集を出版しているような、今さら修正の利かない大ベテランならともかく、生きた俳句を詠みたいなら、俳句の将来性を考えるなら、断固新かなで詠むべし、と。

 飛躍した、また己の実力も顧みない物言いではありますが、「俳聖芭蕉は言葉遊びの大冒険者、すなわち言葉の革命者だった」とも思っています。
 十七文字の世界の中で、一語はもとより、一字二字の冒険を試みることは、すなわち大きな冒険を試みることだと常々思い、またそうありたいと目指しています。

 学生時代、黒板に書く日本語の送り仮名が全て旧かなで、しかも「カタカナ」という英文法の教授がいました。
 小学校に入ってから、送り仮名をカタカナで書く先生に会ったのはこの時が初めてで、いやぁ、ビックリしましたね。
 (発音もひどかったですが。)
 眠気に襲われる学生が多いので、私は「墓場の教室」と呼んでいました。

 カタカナ文は慣れないと読みにくいものです。
 宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」だけで十分お腹いっぱい、という気になります。

 その教授、当然、人気はなかったですね。
 俳句界もそうならないような舵取りをと期待しています。


2014/05/18 野麦(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 野麦(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 穂の出ている野生化した麦。
 ピンぼけしたので小さな画像だけ。




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庭石菖

2014/05/20 Tue

2014/05/18 花の広場(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 花の広場(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 すっかり青くなった芝生。
 その中に混じってあちこちに咲いている小さなな赤い花。
 覗き込んでみると庭石菖(にわぜきしょう;にわせきしょう)でした。


2014/05/18 庭石菖(観音崎:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 庭石菖(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

 まん丸い莟がたくさん。
 よく見ると整った咲きぶりですね。


2014/05/18 花の広場(観音崎公園:神奈川県横須賀市)
 2014/05/18 花の広場(観音崎公園:神奈川県横須賀市)

    庭石菖芝やわらかく空青し /むく



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野いばら

2014/05/20 Tue

2014/05/18 野いばら(観音崎:神奈川県横須賀市)
2014/05/18 野いばら(観音崎:神奈川県横須賀市)

 もう盛りを過ぎようとしていましたが、季節になると必ず逢いたい野の花の一つなので…。

   北壽老仙をいたむ

 君あしたに去ぬ ゆふべのこゝろ千々に
 何ぞはるかなる

 君をおもふて岡のべに行つ遊ぶ
 をかのべ何ぞかくかなしき

 蒲公の黄に薺のしろう咲たる
 見る人ぞなき

 雉子のあるか ひたなきに鳴を聞ば
 友ありき河をへだてゝ住にき

 へげのけぶりのはと打ちれば 西吹風の
 はげしくて 小竹原眞すげはら
 のがるべきかたぞなき

 友ありき 河をへだてゝ住にき けふは
 ほろゝともなかぬ

 君あしたに去ぬ ゆふべのこゝろ千々に
 何ぞはるかなる

 我庵のあみだ仏 ともし火もものせず
 花もまいらせず すごすごと彳める今宵は
 ことにたうとき 

                 釋蕪村百拜書


 故人を悼むこの詩を書いた「釋蕪村」とは江戸時代の俳人与謝蕪村です。
 「北壽老仙」については、下総結城(茨城県)の俳人、早見晋我(しんが)の隠居後の号とする説もあり、また異説もあります。
 いずれにしても、放浪時代の若き蕪村の力になった北総の有力者だったのではないかと思われます。

 萩原朔太郎(明治19年~昭和17年:1886~1942)は、著書『郷愁の詩人与謝蕪村』の中で、この詩について次のように書いています。

 「この詩の作者の名をかくして、明治年代の若い新體詩人の作だと言つても、人は決して怪しまないだらう。しかもこれが百數十年も昔、江戸時代の俳人與謝蕪村によつて試作された新詩體の一節であることは、今日僕等にとつて異常な興味を感じさせる。」

 朔太郎の言葉を引用するまでもなく、蕪村の作と知ってこの詩を読む人は、きっと同様の驚きを感じることでしょう。
 タンポポやナズナではなく、なぜか野いばらの花を見ると思い出す詩です。

      花いばら故郷の路に似たるかな /与謝蕪村




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プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
産業技術英語通訳・翻訳者。男性。岩手県生まれ宮城県育ち。人生の大半は首都圏暮し。海外生活約10年。俳句歴:2000年より。主な発信地:神奈川県横須賀市、山梨県山中湖村。

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