渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~渡邊むく俳句ブログ~まあおたいらに~ 秀句鑑賞:夏の季語
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航跡もイルカの群も夕焼ける

秀句鑑賞-夏の季語: 七月

2013/10/08 Tue

October 8 2013

山口誓子

 七月の青嶺まぢかく溶鉱炉

 日本国内にある全製鉄所の半数以上は訪ねた。掲句に初めて触れたとき、この景は北九州市にある製鉄所のものだと思った。句が成立した背景を調べ、その直感が正しかったことを確認した。たまたま勘は当ったが、自分の体験に基づかずとも、掲句は圧巻の近代的な景を想起させる。日本の重工業の礎であったその製鉄所が、アミューズメントパークに生まれ変わって既に久しい。その近くに、今はまだ解体されずに歴史の証人として立っている一基の廃炉。それが掲句の溶鉱炉だろう。(渡邊むく)

 【山口誓子(やまぐち・せいし):明治34年(1901年)-平成6年(1994年)。京都府京都市生まれ。】



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秀句鑑賞-夏の季語: 雲海(うんかい)

2013/10/07 Mon

October 7 2013

福田寥汀

 雲海の声なき怒涛尾根越える

 季語は雲海で夏。今年の春まで勤めていた職場に去年の夏に他部から研修に来ていたS君は、人一倍寡黙な青年だった。趣味を訊ねると山登りだと言う。「こんな山の俳句があるよ」と、その時紙に書いてS君に紹介したのが掲句である。そのS君が、ある日「差し上げます」と一枚のDVDを持ってきてくれた。夏休みに北アルプスの山に登った時のアルバムである。家に帰って開いてみると、アルバムの中には荘厳な夜明けの雲海もあった。登山家でもあった福田寥汀は山の句を多く詠み、「山岳俳句」なる分野を開拓した。(渡邊むく)

 【福田寥汀(ふくだ・りょうてい):明治38年(1905年)-昭和63年(1988年)。山口県萩町(現在の萩市)生まれ。】


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秀句鑑賞-夏の季語: 鮎(あゆ)

2013/10/07 Mon

October 7 2013

尾崎紅葉

 あゆ看るべくながれ聴くべくたにの石

 季題は鮎で初夏。「渓」は「たに」と読むのだと思う。近代俳句の源流は俳諧連歌の発句。今日的史観からは、正岡子規(1867-1902)が提唱し高浜虚子(1874-1959)が発展させたと言えよう。とは言っても、近代俳句にはそれ以外の流れもある。季語を用いて基本的に五七五の十七文字で詠む有季定型句の他に、無季の句、自由律の句などもある。若き子規がホトトギスを起こして月並俳諧革新を唱えた頃、二十代にして既に文豪の名を欲しいままにしていた尾崎紅葉は、子規とは交遊のない世界に有りながら独自に俳諧革命を唱え、「苦吟」を行じていた。虚子は長命だったが、子規と紅葉は三十代半ばの若さで世を去った。虚子のような門弟がいなかった紅葉の運動は近代俳句の「流れ」を作るには至らなかったが。(渡邊むく)

 【尾崎紅葉(おざき・こうよう):慶応3年(1868年)-明治36年(1903年)。江戸芝(現在の東京都港区浜松町)生まれ。】


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プロフィール

渡邊むく

Author:渡邊むく
男性。岩手県生まれ宮城県育ち。商社勤務、産業技術英語通訳・翻訳者を経て現在はほぼ引退。愛妻ガンコちゃんと二人暮らし。引越し回数二十六回。現在の主な発信地は東京へも富士山へも約70kmの神奈川県秦野市。俳句は2000年から。リンクはどうぞご自由に。

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